[原子力産業新聞] 2006年8月3日 第2342号 <1面>

対印協力促進法を承認へ 米下院、圧倒多数で可決

米下院は7月26日、民生用原子力分野でのインドとの協力関係を推進する法案を、賛成359、反対68の圧倒的多数で可決した。この法案は、核拡散防止条約(NPT)未加盟国への原子力関連技術や原子燃料の輸出を禁じた「1954年原子力法」から、インド向けの規制を除外するもの。上院も今秋以降に同様の法案を可決するとみられており、年内には両院協議会で一本化され、昨年7月に米印首脳が合意した原子力協力は、実現に向けさらに一歩前進することになった。

ブッシュ政権は戦略的な米印関係構築の柱に原子力協力を据え、技術移転だけでなく、ITER計画やGEN−W計画へのインドの参入支援など、インドの原子力分野での国際社会への復帰を支援することを約束している。インドは、民生用と軍事用の原子力施設・計画の分離、民生用施設の国際原子力機関(IAEA)への申告と保障措置の適用、保障措置追加議定書への加盟、核実験モラトリアムの実施、カットオフ条約成立への協力、再処理・濃縮技術の移転自粛などを約束。その見返りとしてインドは、米国と全面的な原子力協力関係を構築し、原子力関連技術を輸入することを熱望している。

一方、45か国からなる原子力供給国グループ(NSG)は今年6月の年次総会で米印原子力協力について協議したが、米国内での手続きの遅れなどから、NSGガイドラインを改正しインドを「輸出禁止対象の例外」とすることは見送られ、継続協議とされた。しかし今回米議会での関連法改正が進展したことにより、今後、インドが輸出対象として承認される公算が高くなった。

インドは近年のめざましい経済発展により、中国と同様に、エネルギー不足に悩まされている。シン首相は7月26日、同国のエネルギー需要が2030年までに現在の4〜5倍になり、電力分野では現在の1億3,100万kWの設備容量に対し、8億〜9億5,000万kWが必要になると指摘。「米印原子力協力協定はインドの原子力発電開発を加速させるもの」と、あらためて期待感を示している。


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