[原子力産業新聞] 2006年8月3日 第2342号 <2面>

英国 放射性廃棄物管理委員会 バックエンド・オプションで最終報告 深地層処分と中間貯蔵を併用

英国のバックエンド・オプションに関する検討を行っている英国放射性廃棄物管理委員会(CORWM)は7月31日、@深地層処分オプションを採用A処分サイトが完成するまでは中間貯蔵Bサイト選定にあたっては地元自治体からの自発的な誘致を原則とする――の3本を柱とした最終報告書を政府に提出した。

CORWMは深地層処分オプションを「他のオプションと比較し、現在の知見で考えられうる最良のオプション」と結論。同時に、深地層処分に対する社会的不安などから処分サイトの選定に大幅な遅れが生じる事態を想定し、長期中間処分オプションも併用するよう勧告した。

地元自治体を重視する姿勢も鮮明にし、サイト選定は地元自治体からの誘致を大前提に、地元自治体が初期段階から検討作業に参画。処分実施主体と対等な立場で緊密に連携し、地域振興も含めて総合的に検討するべきと主張。また、あらかじめ処分する廃棄物の種類や量を明らかにし、(今後の新規原子力発電所建設などで)新たに処分する廃棄物が発生した場合は、地元自治体に裁量権を与えるべきとした。

なおCORWMは、英国で放射性廃棄物問題がこれまで長いこと先送りされてきたとの反省から、「バックエンド分野の研究開発、サイト選定手続きおよびサイト運営が遅滞なく進行するよう監視する独立機関」を早期に設立するよう勧告している。

CORWMによると、英国では現在、8万立方mあまりの放射性廃棄物が原子力発電所や原子力施設などで貯蔵されており、原子力発電所のデコミッショニングなどにより今後100年間で合計47万立方mの廃棄物の発生が見込まれている。

この内訳は、高レベル廃棄物が2,000立方m(放射能量で全体の95%に相当)、中レベル廃棄物が35万立方m(同5%)、低レベル廃棄物が3万立方m(同0.001%)、使用済み燃料が1万立方m、プルトニウムが4,300立方m、ウランが7万立方mである(いずれもコンディショニング&パッケージング後)。もちろんこれらに、新規原子力発電所が建設された場合の廃棄物発生量は含まれていない。


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