[原子力産業新聞] 2006年8月3日 第2342号 <2面> |
米ロ、原子力分野で共同声明 インドとの連携強化にも言及G8サミットで、ブッシュ大統領とプーチン大統領が共同声明を発表。民生用原子力分野、核不拡散分野などにおける一層の協力関係拡大で合意した。 共同声明は、民生用原子力分野での米ロ両国の協力強化は、両国の戦略的利益となるとした上で、各国が安全で平和な原子力を入手できるようにするよう支援することが重要との認識を表明する内容となっている。 また安定したエネルギー供給は持続可能な経済開発と繁栄の基礎であるとし、原子力を「温室効果ガスを排出せずに安定した電力を供給する実証済みの技術」であり、エネルギー需要の伸びに即した解決策の柱となると期待感を示した。そして原子力の推進のために、核拡散抵抗性を備え、廃棄物を安全に管理し、同時に経済性を持った国際的枠組みが必要と強調。ロシアの提唱する「国際原子力機関(IAEA)の管理下で、核燃料関連サービスを提供する共同事業体の設立」や、米国の提唱する「軍事への転用防止を前提とした地球規模での原子力発電利用の枠組みである国際原子力パートナーシップ(GNEP)」に言及。ウラン濃縮および再処理設備を持つことなく、すべての国が原子力の恩恵を受けられることをねらった新しい国際的枠組みの方向性が再確認された。 また両国は、核不拡散条約(NPT)の役割と、NPTが要求する保障措置実施におけるIAEAの重要性を認識し、G8諸国と協力して、保障措置義務の遵守を検証するプロトコルを作成することで合意。2002年5月のモスクワ条約に即して核戦力を削減し、NPT条項Yに基づき、義務を遂行。核兵器、核物質、大量破壊兵器がテロリストの手中に落ちないよう、核不拡散体制を強化するとした。 また両国は、特にインドについて「インドが不拡散体制に足並みを揃えたことを歓迎し、インドとのパートナーシップの強化を期待する」と述べ、今後のインドとの協力関係拡大を互いに確認しあった。 北朝鮮に対しては「北朝鮮の弾道ミサイル実験は憂慮すべきことであり、北朝鮮が6カ国協議に復帰し、2005年9月19日の合意を完全に履行することを強く求める」として非難した。 |