原子力機器製造を再開 米国 ユニスター社 米原子力プラント機器を国内調達へ
ユニスター・ニュークリア社は1日、米国向け新規原子力プラント機器のほとんどを米国内から調達する方針を発表した。1973年10月の最終発注以来、商業規模での原子力機器の製造能力をほぼ失ったと指摘される米原子力産業界を、再活性化させる動きとして注目を集めている。
ユニスター・ニュークリア社は、米国で原子力発電所の新規建設を目指し、建設・運転一体認可(COL)の実証を目的として設立されたコンソーシアムの1つで、仏アレバ社と米電力会社(コンステレーション・エナジー社)との合弁会社。アレバ社の欧州加圧水型炉(EPR)を米国向けに改良したUSEPRを建設炉型とし、メリーランド州カルバートクリフス・サイトもしくはニューヨーク州ナインマイルポイント・サイトを対象としたCOLの申請を準備中だ。
今回ユニスター・ニュークリア社は、機器供給者としてBWXテクノロジー社(BWXT)を選定。両社は、USEPRの機器だけでなく、米国内の既存原子力発電所向けの交換機器の製造に至るまで、BWXT社を北米事業における調達拠点とすることで合意した。
米国では今後数年内に、18基分のCOLが申請されると見込まれており、実際に建設段階へ移行した場合、機器調達が困難になることが予想される。しかしユニスター・ニュークリア社が北米での調達拠点を設定したことで、同社は「米国製のEPR」としてUSEPRの販売攻勢を加速させることが出来るだけでなく、原子炉の発注が集中した場合でも、自社の生産能力に多少の余裕を持たせることが出来るようになる。
原子力ルネサンスの象徴となるか
インディアナ州マウント・バーノンにあるBWXT社の工場は、オハイオ川に面し、鉄道や高速道路にも至近で、格好の立地条件にある。同工場のプロジェクト・マネージャーであるM.キーン氏によると、ドックにあるクレーンでは700トンもの大型機器を吊り上げることが出来るという。
同工場は商業用原子炉機器の製造用に設計され、30年以上前までは、原子炉メーカーのバブコック&ウィルコックス社の工場として1,400人の従業員を擁していた。しかし1970年代に入り原子力発電所の発注数の激減にともない同工場は閉鎖。その後、長期保存状態に置かれ、1990年代半ばからはBWXT社の工場として、軍事用原子力機器を製造している。
しかしBWXT社は米国での原子力ルネサンスの流れに注目。商業用原子力機器の製造に着手する方針を固め、今年4月に米機械学会(ASME)から「商業用原子力機器の製造能力がある」とする「N認証」を取得、年内に商業用原子力機器の製造体制を確立する。従業員数は現在125人だが、BWXT社のJ.フィース社長は「将来的には従業員数が5倍になる可能性もある」と期待を寄せている。
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