[原子力産業新聞] 2006年8月24日 第2344号 <3面>

米国 カルバート郡が新規炉に税制優遇 原子力発電所の誘致活動が本格化

米国カルバート・クリフス原子力発電所(=写真)が立地するカルバート郡(メリーランド州)は8日、同発電所の増設にインセンティブを与えるため、「新規ユニットに税制上の優遇措置を与える」ことを発表した。

カルバート郡理事会は、同発電所からの税収は年間1,600万ドル(同郡の税収の約9%)で、1973年以来総額1億7,300万ドルに達し、発電所の現在の所有者・運転者であるコンステレーション・エナジー社が最大の納税者であることを指摘。また同社がカルバート郡の地域振興に積極的に貢献していることを評価。カルバート・クリフス3号機が建設された場合「15年間にわたって固定資産税の50%を控除する」ことを決定した。

郡理事会の試算によると、3号機から見込める税収は、控除を考慮しても年間2,000万ドル。雇用面での影響も大きく、5年間の建設期間だけでも3,200人分の臨時雇用が、その後400人分の定期雇用が見込めるとしている。

コンステレーション・エナジー社は仏アレバ社と、米国内での原子力発電所の新規建設を目指すコンソーシアム「ユニスター・ニュークリア社」を設立しており、現在、米原子力規制委員会(NRC)への建設・運転一体認可(COL)を申請準備中だ。建設候補サイトとして、カルバート・クリフス・サイトまたはナインマイルポイント・サイト(ニューヨーク州)、ロバート・E・ギネイ・サイト(同)が挙げられている。

カルバート郡理事会のD.ヘール理事長は、「郡はコンステレーション・エナジー社の要望に応えた。あとは同社が決める問題だ」とコメントし、同社から郡へ税制控除の要望があったことを明かした。他の候補サイトが所在するニューヨーク州の2郡では、「提供するインセンティブがまだ固まっていない」(オスウィーゴー郡)、「コンステレーション・エナジー社からその種の要望が届いていない」(ウェイン郡)状態で、カルバート郡に遅れをとった感は否めないようだ。


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