[原子力産業新聞] 2006年8月31日 第2345号 <2面>

安全委・耐震指針分科会 9月にも新耐震指針成立 鈴木安全委長 「極めて重要な意義」

原子力安全委員会の耐震指針検討分科会(主査=青山博之・東京大学名誉教授)は28日、前回示された「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」改訂案について、委員からの意見を踏まえ若干の修正を施した上、これを大筋了承、約5年間にわたる耐震設計審査指針改訂審議を締めくくった。本件は、同分科会上層の原子力安全基準・指針専門部会に報告された後、来月にも安全委員会本会合の決定により新指針成立の運び。

また、改訂指針案に対する公募意見が多数に上るなど、広く一般からの関心が高かったことに鑑み、これら意見に対する同分科会での調査審議についても合わせて報告書案がとりまとめられた。

これを受け、鈴木篤之・安全委員長は、「極めて重要な意義」と述べ、新指針確定後は速やかにこれに基づく安全審査に取り組んでいく考えを表明。

前回会合では、改訂指針案中「基準地震動の策定」の活断層調査方法に関して、公募意見を踏まえ「トレンチ掘削調査」を追加した修文案が示されたが、「変動地形学的調査」「地表地質調査」といった大枠的な調査種別の列挙に対して、「等」の表現で包括できるとの考えから、今回提示された案文では記述されないこととなるなど、再度修正が加えられている。

意見公募終了後、これで5回目の招集となった同分科会だが、焦点の1つとなった「活断層」に関連して、「正しく知らないまま改訂指針案がまとめられた」として、石田克彦・神戸大学都市安全研究センター教授が委員辞任表明・退席するという場面もあるなど、締めくくりまで紛糾ぶりを見せた。議事終了に際し、入倉孝次郎・愛知工業大学客員教授は、審議がペンディングとなっている安全委指針「原子力発電所の地質、地盤に関する安全審査の手引き」の見直し、柴田碧・東京大学名誉教授は、多数決、両論併記といった取りまとめの仕方自体についてそれぞれ言及するなど、課題が提起された。


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