[原子力産業新聞] 2006年9月7日 第2346号 <1面>

エネ調・電気事業分科会 投資環境整備小委を設置 制度評価小委、原子力部会の2報告も了承

総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会(会長・鳥居泰彦慶應義塾学事顧問)は4日、第23回会合を開き、電力自由化などの評価を行ってきた制度改革評価小委員会と、「原子力立国計画」と題した原子力部会の報告書を了承するとともに、新たに原子力部会の報告書で提言されている原子力発電の投資環境を整備するための具体的な制度設計を技術的・専門的見地から行うため、「原子力発電投資環境整備小委員会」を設置することを決めた。

新たに設置する同小委の審議事項は、@六ヶ所再処理工場で再処理される以外の使用済み燃料に係わる費用の企業会計上の措置について、費用計上の適正規模および具体的な制度設計の検討A原子力発電所の減価償却など初期投資負担の平準化のための企業会計上の措置B原子力発電施設の解体引当金制度について、クリアランス制度および廃止措置に関する安全規制の整備を踏まえ、最新の知見に基づく積み立ての過不足の検証と、検証結果を踏まえた措置の要否についての検討――で、原子力部会報告では@とAは、今年度決算から適用する方針が打ち出されている。

電力自由化については、95年から3次にわたり電気事業制度改革が行われてきており、自由化範囲は現在6割強にまで広がってきている。来年には一般家庭までを含めた小売電力の全面自由化について、その是非の検討が開始される予定になっている。

今回の報告を受けて委員からは、「電力自由化は安定供給とのバランスが重要だ。電気料金を3割値下げしたが、低金利、設備投資減などもあって値下げが可能だった」、「いまは全面自由化は立ち止まって考えるいいチャンス。10年前とは状況は様変わりで、石油を一般商品と考える人は一人もいなくなった」、「家庭用電力自由化は、これまで以上に慎重に考えてほしい」、「電力会社間の競争ができていない。もっと競争環境の整備を進めてほしい」、「電力自由化と安定供給は対立概念ではない。CO2対策は電力会社だけでやってもしょうがなく、日本全体で考えるべき」――などの意見が出された。


Copyright (C) 2006 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.