[原子力産業新聞] 2006年9月7日 第2346号 <2面>

経産省、安全委に報告 伊方3で10月下旬原子力防災訓練の準備進む

経済産業省は8月28日、本年度の原子力総合防災訓練の準備状況について、原子力安全委員会に報告した。原子力災害対策特別措置法に基づき毎年度、政府主催で実施される最大規模の原子力防災訓練で、今回は四国電力伊方3号機(PWR)を対象に10月下旬に行われることが既に決定している。昨年度は柏崎刈羽発電所(4号機、BWR)を対象に訓練が行われた。PWR対象の実施は03年度の玄海発電所がある。

本訓練は、@平時からの組織体制の機能確認・評価等を実施しその実効性を検証するA災害発生時の防災関係機関相互の円滑化を図るB原子力防災に対する意識の高揚と知識の向上を図る機会とする──ことを目的とし、安全規制担当省庁、原子力安全委員会、地方公共団体、原子力事業者等関係者の連携のもと実践的に行う。

今回の想定事象は、「定格出力運転中、原子炉冷却材の漏洩に伴い原子炉を停止したが、その後の非常用炉心冷却設備の故障等による冷却機能の喪失から炉心が損傷し、原子炉格納容器からの放射性物質の放出による影響が発電所周辺地域に及ぶおそれがある」という条件で、初動対応、緊急事態宣言発出、応急対策の各種措置など、トラブル第一報から事故収束までを模擬する。現地と中央を結び、オフサイトセンターの運営、官邸危機管理センター対策室設置、緊急被ばく医療活動、広報活動、住民避難誘導といった訓練内容により、国、関係自治体、事業者らの有機的な連携を確保する。

特に、今回は対象施設が中央省庁から遠距離に位置するため、航空機による防災専門官、防災資機材の緊急輸送など、広域支援体制の充実を図ることとしている。

訓練の詳細な日程は、今月末にも確定される見通し。


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