[原子力産業新聞] 2006年9月7日 第2346号 <3面> |
米フルアー社 BNGの一括買収を申し入れ 4億ポンドを提示か米国のエンジニアリング大手のフルアー社は8月31日、ブリティッシュ・ニュークリア・グループ社(BNG)の買収を申し入れる内容の書簡を、英原子燃料会社(BNFL)や政府および原子力廃止措置機関(NDA)などに送付したことを明らかにした。英タイムズ紙は、フルアー社の提示した金額を、2億5,000万〜4億ポンドと報じている。 内容の詳細は明らかにされていないが、同22日に発表されたNDA関連の事業部門とそれ以外の部門(AWEマネージメント社の3分の1株式とBNGのプロジェクト・サービス部門)を分離して売却するとしたBNFLの方針に対し、フルアー社は「部門間相互のシナジー効果を失い、BNGの価値を下げる」として再考を促し、BNG全部門一括での買収を提案したようだ。 BNFLは「現時点で分離売却の方針を変更する予定はないが、今後申し入れを精査し、貿易産業省やNDAと協議する」とコメントし、再考する姿勢を示している。 BNGのプロジェクト・サービス部門はデコミ分野の専門スタッフ600名を抱え、イタリア、スペイン、旧ソ連圏など海外事業にも進出している。一部には「フルアー社はNDA関連の事業部門だけでなく、プロジェクト・サービス部門にも魅力を感じている」と指摘する声もある。 また分離売却によりNDA関連の事業部門の売却時期が先送りされた場合、フルアー社のライバル企業である米ベクテル社に参入の機会を与えてしまう可能性もある。ベクテル社は英国のデコミ市場への競争原理の導入やNDAの設立にあたってアドバイザー的な役割を担ったため、英デコミ市場への入札を3年間(2008年3月まで)禁止されている。 一方、英国のPFI事業を手がけるサーコ社もBNGの買収に関心を示している。同社はBNGとNDAとの契約が買収者に自動的に引き継がれることに反対しており、BNGの分割売却を支持しているとみられている。 なおサーコ社は、AWEマネージメント社株式の3分の1を保有している。 |