[原子力産業新聞] 2006年9月14日 第2347号 <1面>

エネ基本計画改定 エネ庁が改定案提示 原子力重視を鮮明に

総合資源エネルギー調査会総合部会の基本計画小委員会(委員長=黒田昌裕・内閣府経済社会総合研究所長)は7日、第1回会合を開催、資源エネルギー庁が提示したエネルギー基本計画改定案を審議(=写真)した。原子力に関しては、現行水準以上の発電比率の中長期的な実現、核燃料サイクルの早期確立と関連産業の戦略的強化、FBRの早期実用化など、現行計画の内容を大幅に強化・拡充、その方策をより明確に示した。来月下旬にはパブコメに付す改定案を取りまとめる。

改定案の大枠は現行計画と同じく基本方針、長期的施策、技術開発、必要事項の4章構成。はじめにで、「我が国にとって、これまでにも増して安定供給の確保が重要な課題となっている」との認識を示し、基本方針の環境への適合では「原子力は安全保障と地球温暖化問題との一体的解決を図る要になる」とした。

長期的施策の「多様なエネルギー開発、導入及び利用」において、原子力の記述は大幅に強化・拡充される。現行計画では位置付け、国民理解、サイクル確立、自由化との両立、という4項目だが、改定案では、@位置付けA国民地域社会との共生B現行水準以上の発電比率実現Cサイクルの早期確立と関連産業の戦略的強化DFBRの早期実用化E国際枠組みへの積極関与F次世代技術開発と人材育成G原子力産業の国際展開支援H廃棄物対策の推進――という9項目の構成。各項目とも原子力立国計画を踏襲し、詳細に記述。サイクルでは、安定供給確保の観点からウラン濃縮と再処理は、国内に相当規模かつ国際競争力を有する産業の確保が必要とし、国際枠組みの中では、原子力をCDMスキームの対象に加えるよう働きかけを強化する。

原子力に関し委員からは、「サイクルも含め我が国原子力施策の基軸となる内容、高く評価する。安全確保を大前提にこれに則り事業を進めたい」(寺本嵩・電事連理事)、「水素は原子力で作って本物。単に原子力ではなくFBRや高温ガス炉など具体的な記述にすべき」(松田英三・読売新聞論説委員)などの意見が出された。


Copyright (C) 2006 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.