[原子力産業新聞] 2006年9月21日 第2348号 <1面> |
安全委 新耐震指針を正式決定 19日から適用開始原子力安全委員会は19日、同委専門部会などで審議してきた「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」改訂案を了承、同日から新指針の適用を開始した。81年制定の耐震設計審査指針は、基準地震動策定の高度化などを主眼とする新指針に移行。同施設に関する他の指針類、同施設以外の原子力施設の耐震安全性規定も改訂した。また、最新の知見に基づき安全性の向上に努めていく観点から、既設の原子力施設も、指針類改訂を踏まえ、耐震安全性を再確認することを安全委員会決定した。 安全委員会による耐震設計審査指針改訂の調査審議は、01年に同委原子力安全基準専門部会(当時)に指示され開始、以降、原子力安全基準・指針専門部会と改称された04年頃から、分科会・WGによる議論が活発化。この5月に指針改訂案とりまとめとなったが、パブリックコメントでは約700件もの意見が寄せられたため、さらに分科会で審議を行い、今月11日に最終案文のとりまとめにこぎつけた。 19日の安全委では、同専門部会長の矢川元基・東洋大学計算力学センター長が、これら意見への対応など審議の経緯について説明し、耐震安全性に係わる安全審査指針類の改訂案とりまとめについて報告した。同委員会はこれを了承、改訂指針類は、「今後の安全審査等に用いることを第一義的な目的」とするが、「わが国の原子力施設の耐震安全性の一層の向上に資するものであり、国民への説明責任の観点から意義深い」ことから、本改訂を契機に、既設の原子力施設について新指針類の規定内容を踏まえた耐震安全性の確認を実施することとし、今後は規制行政庁に対し、原子力事業者への安全性評価実施に関する要請およびその評価結果の報告を求めていく。また、「残余のリスク」に関する定量的評価については、「確率論的安全評価に代表される最新の知見に基づいた評価手法を積極的に取り入れていくことが望ましい」とした。 原子力安全・保安院は改訂を受け20日付けで耐震安全性評価や確立論的安全評価導入に資する情報として残余のリスク評価を事業者等に指示。電気事業連合会は19日、「既に新指針に対応する地質調査を開始しており、必要に応じて耐震裕度の向上のための対策を自主的に実施する」とのコメントを発表した。 |