[原子力産業新聞] 2006年9月21日 第2348号 <4面>

原子力機構 災害時招集通報システム開発 遠方の研究拠点から迂回

原子力機構(JAEA)は大規模災害時に職員の緊急招集通報として、原子力機構内の専用通信(内線電話)回線を活用し、災害発生の周辺地域で予想される電話回線の混雑による影響を回避して、呼び出し発信をより確実に行える「JAEA緊急時招集呼出システム」を開発し、8月25日から運用を開始した。

原子力機構では東海研究開発センター(茨城県)、高速増殖炉研究開発センター(福井県)、関西光科学研究所(兵庫県)などの各研究開発拠点を持ち、各所で事故・トラブルなどが発生した場合、対応職員を速やかに招集し、その復旧作業や関係機関への連絡などを行うため、発生事象に応じてあらかじめ指定した招集対象者の自宅の固定電話や携帯電話に招集メッセージを発信している。

それでも、大地震や台風などで周辺地域を巻き込むような広域災害が発生した場合、安否確認などの電話の集中により電話回線が混雑すると、電話の不通を避けるために「災害時優先電話」などを優先して一般加入電話の利用を制限する「災害型輻輳(ふくそう)」制御が行われることがあり、従来の招集装置では、この影響を受けて要員の円滑な招集に支障をきたす恐れがあった。

今回開発したシステムでは、原子力機構の専用通信回線網を経由して遠方地域の研究開発拠点からNTT電話回線に接続して、災害発生地域内の要員に対する招集通報を、電話と電子メールで発信する機能を有している。


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