[原子力産業新聞] 2006年9月21日 第2348号 <4面>

早川ゴム 原子力機構 J−PARC資材開発で 耐放射線性ゴムを開発 汎用品で5倍の性能

早川ゴム(本社・広島県福山市)と日本原子力研究開発機構は協力して、既存ゴム材料に比較して耐放射線性能が約5倍以上優れた汎用ゴム材料を開発した。

本件は現在、茨城県東海村で原子力機構と高エネルギー加速器研究機構が共同で建設を進めている大強度陽子加速器施設(JーPARC)の建設資材としてのゴム製緩衝材・シール材の耐放射線特性を改良する作業の中で開発されたもの。

一般的には高放射線環境で使用できる材料は、無機材および化学的にベンゼン環構造を有する高価な有機材料程度に限定され、高放射線環境に汎用のゴム材料適用が可能となれば、コスト面、作業面などから大きなメリットがある。

本来、ゴムは放射線吸収線量が1〜1.5MGyで弾性体としての機能または形状を失う。

本件の開発は、これまでの汎用材料の中で最も耐放射線特性が優れているEPDM材(エチレン・プロピレン・ディエン共重合体ゴム)に新しいアイディアに基づく添加剤を加え、放射線吸収線量9MGyを超えても弾性体としての機能および形状を維持する汎用のゴム材料を開発したもの。

得られた新たなゴム材料は、JISで規定される引張伸び、破断強度、硬さなどの試験項目に加え、建設資材としての必要な工学的試験をクリアし、建設資材(異種建築物接合部の止水板部材)として製品化され、すでにJ−PARCの加速器トンネルの接合部止水・緩衝材に採用。

さらに、陽子加速器冷却水配管の接続シール部や超伝導電磁石などの大型真空装置の気密シール部への適用試験が現在行われている。


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