[原子力産業新聞] 2006年9月28日 第2349号 <3面>

IAEA総会特別会議 近藤原子力委員長スピーチ要旨 核燃料供給保証で日本案提示

日本は、英米仏独蘭露の「6か国構想」の目的自体には賛成だが、IAEA理事会で明らかになった各国の懸念を踏まえ、「IAEA核燃料供給登録システム」の立ち上げを提案したい。

これは6か国構想を補完したもので、市場攪乱を防止するために、@ウラン濃縮だけでなくフロントエンド全体をカバーするAIAEAが各国のデータを共有する――の2点を柱としている。

IAEAを受け皿とした同システムの下で、各国は自発的に、@ウラン供給Aウラン燃料備蓄B転換C濃縮D燃料加工――などの分野における能力(保有量や供給容量など)について、以下の3つのレベルで登録する。レベル1=商業生産を開始しているが、商業規模での輸出は行っていない。レベル2=商業規模での輸出を行っている。レベル3=短期間で輸出可能な備蓄を有している。もちろん登録国には、保障措置上の問題がないことが前提である。

同システムにおいてIAEAには、@登録各国との手続きおよびシステム全体の管理A登録国のレベルの把握、情報のデータベース化、潜在的需要国(発展途上国など)の把握やウラン市場の日常的な監視B燃料供給が破綻した場合の仲介機能――などの役割を期待する。

6か国構想は供給国と受領国の2分法となっているが、日本のように「ウラン濃縮をしているが輸出は行っていない。将来的には輸出も視野に入れている」国は、2分法では分類できない。供給保証構想とは、国際協力により燃料供給を保証するためのシステムであり、より多くの国々の参加がのぞましいはずだ。「IAEA核燃料供給登録システム」は、多くの国がさまざまな分野への登録という形でシステムに参加できる。

もちろん同システムには原子力産業界の協力が不可欠だ。産業界は市場への干渉を嫌うかもしれないが、同システムが軌道に乗れば原子力産業は地球規模で健全に発展し、燃料需要も高まると思われる。

同システムは、参加国に保障措置以外の新たな義務を課すものではない。濃縮技術の放棄も要請しない。同システムにより安定した燃料供給が保証されれば、採算の合わない小規模の濃縮技術や再処理技術の自国保有に固執するインセンティブもなくなるだろう。


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