[原子力産業新聞] 2006年10月5日 第2350号 <3面>

上院委、ユッカ法案提出 中間貯蔵+GNEP+最終処分の3本が柱

米国上院エネルギー・天然資源委員会のドメニチ委員長は9月27日、「ユッカマウンテン促進法案」を上院に提出した。同法案の成立は、来年初頭の議会まで持ち越される見込みだ。成立すれば、軍事用廃棄物は2010年頃に、商業炉の使用済み燃料は2011年にも、ネバダ・テスト・サイトの地上貯蔵施設に搬入される。

地層処分施設および地上貯蔵施設からなるユッカマウンテン計画の迅速な遂行を目指す同法案は、以下を規定している。

@内務省土地管理局/空軍/ネバダ・テスト・サイトの管理下にあるユッカマウンテン・サイトを、エネルギー省(DOE)の管理下に置く。輸送鉄道線の用地も、DOEの管理下に置く。

A現行法で7万トンに規定されているユッカマウンテンの処分容量上限を撤廃する。

BDOEはユッカマウンテンに建設する地層処分施設、および隣接するネバダ・テスト・サイトに建設する地上貯蔵施設に関する環境影響評価報告書を作成し、インフラの整備を開始する。両施設の原子力規制委員会(NRC)への認可申請は同時に行う。

C商業炉の使用済み燃料は、DOEが地層処分施設の建設認可を発給された時点で、地上貯蔵施設へ搬入する。使用済み燃料は、国際原子力パートナーシップ(GNEP)で再処理可能な容量の範囲内であれば、再処理を原則とする。

D軍事用廃棄物(核兵器および原子力艦船から発生する放射性廃棄物)についてDOEは、地上貯蔵施設の認可が発給された時点で、ネバダ・テスト・サイトへ搬入する。

EDOEは、放射性廃棄物基金を利用することが出来る。

今回の法案の最大の特色は、ユッカマウンテン計画に中間貯蔵を組み合わせ、GNEPを関連付けたことと言えるだろう。短期的には中間貯蔵を地上貯蔵施設で実施し、長期的にはGNEPで再処理活動も実施する。

これまでユッカマウンテン地層処分施設に対して「たとえ操業したとしても数年で満杯になり、新たに第2地層処分施設が必要になる」との指摘があったが、再処理と組み合わせることで、処分される使用済み燃料を大幅に減量することができ、「第2地層処分施設は不要になる」(ドメニチ委員長)という。

DOEは、地層処分施設および地上貯蔵施設について2008年6月までに認可申請をする計画で、NRCは、地上貯蔵施設については2010年頃に認可を発給すると見込まれている。従って早ければ2010年にも、軍事用廃棄物はネバダ・テスト・サイトの地上貯蔵施設へ搬入されることになる。

商業炉の使用済み燃料は、地層処分施設の建設認可がNRCから発給された後、DOE長官が承認したものに限り、地上貯蔵施設に搬入することが出来る。DOEは、2011年9月と想定している。

米原子力協会(NEI)のボウマン会長は、「原子力産業界が最重要課題に掲げていた使用済み燃料管理問題に取り組んだもの」と同法案を賞賛。使用済み燃料の再処理後も処分すべき廃棄物が発生するため、地層処分施設は絶対に必要だとした上で、計画の実施は早ければ早いほどよい、との認識を示した。


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