[原子力産業新聞] 2006年10月5日 第2350号 <3面> |
混迷深まるチェルノブイリ4号機 新シェルターの入札を無効に【9月30日=キエフ松木良夫】チェルノブイリ原子力発電所のイーホル・フラモトキン所長は9月14日、事故で破壊された4号機を現在覆っている石棺をさらに上から覆うための新シェルター建設工事の入札を無効にすると発表した。 しかしこの決定は、同所長の権限で行なわれたため、ウクライナ非常事態省は、直ちに同所長の決定を留保し、事態の調査を開始した。今後、新シェルター建設のための石棺基金を管理する欧州復興開発銀行(EBRD)とウクライナ政府との間で協議が行なわれる見込みだ。 同新シェルターの建設は当初、2001年から建設工事を開始し、2007年には完成する予定だった。予備調査は、既に1997年に開始されている。しかし、予備調査期間を終了した後も今日に至るまで、全く建設工事が開始されていない。 建設計画実施のため、G7を含む23か国が中心となってEBRDに石棺基金が設立され、既に合計11億ドルがこれら諸国から拠出されている。これには、我が国からの拠出金5,500万ドルも含まれる。 同建設工事の入札結果は、2004年末までに発表されるはずだったが、これが延期されていた。現地の新聞情報などを総合すると、2004年3月に、2候補が発表されており、さらに今年3月頃に、最終選考結果が発表になる予定だった。 なお、2年前までに選考に残っていた2候補は、欧州とウクライナの合同事業体、および米国とウクライナの合同事業体とされている。また、現地新聞の伝えるところによれば、同資金からは、今までにすでに4億1,800万ドルが支出されており、このうち1億1,400万ドルは、コンサルタント費用に使われたとされている。 |