[原子力産業新聞] 2006年10月26日 第2353号 <5面>

ルーラ・ブラジル大統領 原子力発電新設の本格検討を公約

29日の大統領選挙決選投票を前に、2期目を目指す現職のL.I.ルーラ・ダ・シルヴァ大統領が、原子力発電の新設を本格的に検討することを公約に掲げた。

これはD.ロウセフ官房長官が23日、現地紙とのインタビューの中で明らかにしたもので、2010年以降の電力不足解消のために、180億ドルを投じて計6基の原子力発電所の新設を検討するという。

ブラジルでは国営原子力発電会社であるエレクトロニュークリア社が今年6月、33億ドルを投じてアングラ3号機(PWR、130万9,000kW)の建設を来年にも再開する計画を発表している。

官房長官は、「アングラ3号機だけでなく、ブラジル原子力委員会が提案している計6基の原子力発電所の新設を検討する」と強調。「政権1期目の主要閣僚は原子力発電の拡大に反対の立場だったが、反対派の筆頭だったA.パロシ財務相やJ.ジルセウ官房長官はすでに閣外へ去った。我々は2010年以降の電力不足を阻止する義務がある」と、原子力発電新設を見据えて本格的に検討を開始することをルーラ政権の公約に掲げた。

経済が好調なブラジルでは今後、年率4.5%の経済成長率が予測されている。電力需要は、2015年までに現在の65%増となると考えられている。


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