[原子力産業新聞] 2006年11月2日 第2354号 <3面> |
英国 高レベル廃棄物の深地層処分を決定 NDAが実施主体に英政府は10月25日、英国放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が提出したバックエンド・オプションに関する最終報告書に基づき、高レベル廃棄物の深地層処分を決定。処分事業の実施主体として、英原子力廃止措置機関(NDA)を指定した。 委員会は今年7月、@深地層処分オプションを採用A処分サイトが完成するまでは中間貯蔵Bサイト選定にあたっては地元自治体からの自発的な誘致を原則とする――の3本を柱とした最終報告書を政府に提出。 同時に、放射性廃棄物問題がこれまで長いこと先送りされてきたとの反省から、「バックエンド分野の研究開発、サイト選定手続きおよびサイト運営が遅滞なく進行するよう監視する独立機関」を早期に設立するよう勧告していた。 今回政府は、委員会報告書を全面的に承認。特に、地元自治体の自発的な誘致を促すべく、地元自治体に対し地域振興策など明白な便益を供与することを明言した。 そして年内に、地元自治体に供与する便益やサイト選定プロセスなど地層処分計画全体への国民の関わり方について検討を開始し、同時に、NDAの現行計画に基づき中間貯蔵計画の検討も開始。2007年に地層処分計画全体についての公開協議を実施し、中間貯蔵計画も策定。2007〜2008年には、@サイト選定手続きA地元自治体との協力関係のあり方B処分サイトへの搬出計画――を策定し、中間貯蔵計画や地層処分計画を実施に移すことなど、具体的なスケジュールを明示した。 また政府は、地層処分の研究開発にあたってはNIREX社の知見も重要となるとの認識を示し、処分事業の責任の一元化という観点から、NIREX社の全株式をNDAへ移管することを提案した。NIREX社の持つノウハウをNDAに統合し、NDAの強化を図るのが狙いだ。 NIREX社は、中レベル廃棄物の処分を目的に英原子力産業界が1982年に設立した研究・開発・運営機関。昨年設立された政府所有の株式有限責任会社(CLG)に全株式が移管され、実質的には環境・食糧・農村省と貿易産業省が共同でNIREX社の経営にあたっている。 今回政府から地層処分事業の実施主体として名指しされたNDAは、同日コメントを発表。「地層処分まで責任を持つことで、原子力施設のクリーンアップ事業を実施する際も説得力を持つ」と、政府決定を歓迎した。またNIREX社を統合することについても歓迎の意を表し、「出来るだけ早い時期に、新生NDAについてNIREX社と議論する場を持ちたい」とした。 |