[原子力産業新聞] 2006年11月9日 第2355号 <2面> |
保安院と基盤機構共催で 新検査制度等でシンポ開催原子力安全・保安院は原子力安全基盤機構と共催で10月20日、有楽町朝日ホール(東京・千代田区)で、原子力発電所の「新検査制度」および「耐震設計審査指針改訂」をテーマにシンポジウムを開催した。キーノートスピーチを受けて、会場からの質問を集約、市民と専門家の「対話フォーラム」を提唱する北村正晴・東北大学名誉教授と、八木絵香・大阪大学コミュニケーションデザインセンター特任講師が「ファシリテーター」となって、対話型で意見交換を進める新しいスタイルで行われた。 「新検査制度」では、根井寿規・保安院原子力発電検査課長が、@一律の検査からプラントごとのきめ細かい検査A運転中の検査を充実強化B根本的な原因分析──を主眼とする検査制度の改善の方向性をまず説明した。続いて、保安院の検査制度検討会で委員長を務めた班目春樹・東京大学工学系研究科教授より、日本機械学会が同検討会に先立ち、規制最適化に関する研究を進めてきたことを紹介した上、「継続的な制度改善の議論に専門家内での検討は不可欠」と強調し、種々の政策実現に向けたプロセスのあり方を指摘した。同学会の海外調査によると、フィンランドの計画停止世界最短記録(05年実績約7日間)は、予備品2万余点の準備といった設備投資を始め、その即時交換を可能にする状態監視保全、取替品の十分な調整に資する人材育成により達成された。班目氏は、新検査制度が電力会社、地元、住民国民のいずれにも効果をもたらす「三方得」につながることを期待しスピーチを結んだ。 会場から、「検査を実施する組織としての能力は」「規制側のPDCAは」といった声があったのに対し、根井課長は新検査制度導入に向け、検査官への研修制度についても刷新を進めていると述べた。 |