[原子力産業新聞] 2006年11月23日 第2357号 <4面> |
高エネ研 新薬開発へ新BL設置 多量試料を高速・簡便に解析高エネルギー加速器研究機構はこのほど、アステラス製薬の受託研究のため放射光科学研究施設(フォトンファクトリー)に、新しいタンパク質X線結晶構造解析用ビームラインの設置を決定した。2009年3月完成の予定。 新ビームラインは、フォトンファクトリーの6.5GeVリングPF―ARのNE3セクションに設置する。アンジュレータと呼ばれる光源からの大強度X線ビームを用い、これに高精度回析計、高速X線二次元検出器による回析実験装置、結晶交換ロボットをはじめとする自動化技術などを組み合わせることで、多量の実験試料を高速で簡便に解析できるビームラインとする。 フォトンファクトリーには、すでにタンパク質結晶解析用として同様のビームラインが2か所あるが、ともに大学、公的研究機関、民間企業など多くの研究者にフル活用されている状況。アステラス製薬も既存ビームラインを使用してきたが、創薬研究効率の大幅な向上を目指して、自社研究に合わせたビームライン設置を要請した。同社は09年4月から一定のビームタイムを継続して使用する。 新薬開発では、いかに効率良く標的とするタンパク質の機能を促進あるいは阻害するかがポイントになる。このためには放射光によるタンパク質複合体の立体構造情報の解明が極めて有用になっている。 |