[原子力産業新聞] 2006年11月30日 第2358号 <1面>

10年には新型遠心機量産 兒島社長 既設ユニットさらに停止へ

兒島伊佐美・日本原燃社長は24日、青森市内で定例記者会見に臨み、再処理工場のアクティブ試験の進捗状況、新型遠心機の開発計画などについて明らかにした。

兒島社長は、アクティブ試験第2ステップの全体的な進捗は若干遅れ気味であるとしながらも、今回初めて実施したBWR燃料のせん断も57体すべてを終了し、先のPWR燃料と合わせて十分なせん断能力を確認できたとした。

次いで同社長は、14年前から運転を開始したウラン濃縮事業に関連して、現在稼動している「RE―2A」ユニットについて、その停止時期を社内で検討していることを明らかにした。

日本原燃のウラン濃縮工場では、1,500トンSWU/年を目標に、150トンSWU/年ずつのユニットを7ユニットまで増設してきたが、現在は3ユニットが運転中。他はしだいに遠心分離機の停止台数が増加し、4ユニットはすでに生産を中止している。さらに1ユニットが停止することで、日本は一時的には300トンSWU/年の濃縮ウラン生産能力しか持たないことになる。

兒島社長は濃縮ウランの生産能力を回復するため、現在開発している新型遠心分離機について、後継機を2000年から開発、今年2月に遠心機単体としての最終仕様を決定、現在、開発の最終段階である「カスケード試験」のための遠心機の製作、機器の据付工事などの準備を進め、国際的に遜色のない濃縮コストの実現をめざして、量産技術の確立などの諸課題に取り組んでいるとした。同試験は来年度初頭から開始予定だ。

その後の実用化計画では、2010年度ごろを目途に新型遠心機の生産を開始、段階的に濃縮規模を拡大し、10年程度をかけて、当初計画の1,500トンSWU/年にする。新型遠心機は、現在の遠心分離機を撤去した場所に設置する。


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