[原子力産業新聞] 2006年11月30日 第2358号 <3面>

欧州東南部で電力危機 コズロドイ3、4の閉鎖で

ブルガリアとルーマニアが来年1月に欧州連合(EU)に加盟するが、いよいよ欧州東南部の電力危機が現実的な問題として迫ってきた。

ブルガリア政府と欧州委員会は1999年11月、EU加盟への条件としてコズロドイ1〜4号機の早期閉鎖で基本合意。すでに1、2号機(VVER440×2基)は2002年末に閉鎖され、残る3、4号機は今年内に閉鎖される予定である。

ブルガリアは周辺諸国へ年間76億kWhの電力を輸出している。しかしR.オフチャロフ経済・エネルギー相は、3、4号機の閉鎖および国内電力需要の増加などから、2007年の同国の電力輸出量は15億kWhに下落するとの予測を示した。

欧州東南部の電力不足分の80%をカバー(2005年実績)している3、4号機の閉鎖がもたらす影響は大きく、慢性的な電力不足に陥っているアルバニア、モンテネグロの2か国(電力需要の急増と新規発電設備への投資不足が原因)だけでなく、今冬の需要のピーク時にはギリシャ、セルビアも停電に見舞われる可能性が高くなっている。

ブルガリアでは現在、代替電源として米AES社製の火力発電所(67万kW、燃料はブルガリア産の褐炭を使用)が建設されている。また、露アトムストロイエクスポルト社(ASE)が主契約者となったベレネ原子力発電所(VVER1000×2基)の建設計画では、運転開始は1号機が2011年、2号機が2013年を予定している。

なおEUはコズロドイ1〜4号機の閉鎖要求を「安全上の理由」としているが、かつて技師として同発電所に勤務した経験を持つオフチャロフ大臣は、あくまでも個人的な見解としながらも、「3、4号機の安全性はきわめて高い。バックフィット作業も実施しており、運転期間の延長も可能だ」と不満を述べている。


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