[原子力産業新聞] 2006年11月30日 第2358号 <3面> |
J−PARC リニアック調整段階に 水素ビームの発生・加速に成功日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構の共同組織であるJ―PARCセンターはこのほど、イオンソースから水素ビームを発生させ、リニアックの初段加速器である高周波四重極型リニアック(=写真)の加速に成功した。 J―PARCは08年秋頃の稼働開始を目指し、各施設の機器据え付けが最終段階に入っている。この内、リニアックは10月はじめから運転調整を実施してきたが、今回、初めて水素ビームを発生させ、第1段の加速を確認した。これを機にリニアックは本格的なビーム調整試験の段階に入ることになる。 イオンソースは、試作段階で目標性能60mAを上回る72mAの引き出し電流を達成、集束性も良く、世界最高のビーム性能を有する。リニアックは高周波四重極型リニアック(RFQ)、DTL(ドリフトチューブリニアック)、SDTL(機能分離型DTL)、CCL(結合空洞型リニアック)、SCC(超伝導リニアック)の5種類の加速器で構成。最終的に全長約330mとなるが、第1期分として整備するのは約120mで、負水素イオンを約180MeV(光速の約50%)、ピーク電流30mAまで加速する。 今回、RFQで約3MeV、ピーク電流5mAまでの加速に成功した。今後、ビーム調整試験を継続し、来年夏頃には約180MeVまでの加速を達成する予定。 |