[原子力産業新聞] 2006年12月7日 第2359号 <3面>

南アで国際会議 IAEAも協力 原子力導入を検討し始めたアフリカ諸国 資金・人材・インフラが不足

南アフリカのケープ・タウンで11月27、28の両日、アフリカ諸国への原子力発電の導入をテーマとした国際会議が英エナジーネット社の主催で開催された。気候変動の防止に取り組むため、アフリカ諸国が原子力発電の導入を真剣に検討していることが明らかになったが、同時に、アフリカ諸国の抱える多くの課題も浮き彫りになった。

南アフリカのB.ソンジカ鉱業・エネルギー相は、「エネルギー安全保障はアフリカ諸国共通の課題」とした上で、気候変動防止の観点から原子力発電導入の検討は欠かせないとの認識を示した。原子力発電の導入には、エネルギー政策の確立など政府による強力なバックアップが必要だとし、「アフリカ諸国はウラン輸出による金銭的価値を追うのではなく、ウランのもたらすエネルギーの平和的な有効活用を追及すべきだ」と訴えた。

また南アフリカのエネルギー・アナリストであるA.ケニー氏は、「アフリカでは、石炭・木炭・灯油の燃焼による大気汚染の被害の方がはるかに甚大だ」とし、原子力発電の環境影響に対する懸念を打ち消した。

南アフリカはアフリカ唯一の原子力発電導入国で、2基のPWR(総出力189万kW)を運転している。またPBMR社を設立し、地域の需要に柔軟に対応するモジュラー型の小型高温ガス炉(商業炉段階では16万5,000kWの出力を見込んでいる)の開発に取り組んでいる。そのためアフリカ諸国間の地域協力が話題となり、解決策の1つとして、南アフリカの既存の原子力関連法規制やインフラの活用なども議論された。

アフリカでは最近、ナイジェリアのO.オバサンジョ大統領が11月22日、2015年までの原子力発電導入計画を発表した。会議でも同国のF.オサイサイ原子力委員長は、「原子力発電の初期投資は高額だが、長期的には安価である。原子力発電は実行可能な選択肢だ」と述べ、導入に向けた強い意欲を示した。

その一方でアフリカ諸国には、世界的な原子力ルネサンスの流れに乗れない要因が数多く存在する。国際原子力機関(IAEA)原子力エネルギー局のA.マクドナルド氏は、資金不足、原子力関連法規制の欠如、専門技術者の決定的な不足など、アフリカ諸国の抱える課題を挙げ、「アフリカ諸国には原子力発電導入を検討する十分な理由があるが、すぐに始められるいうものではない」と慎重な姿勢を示した。特に、「確固とした原子力発電開発プログラムと専門技術者なしでは、原子力発電の導入は難しい」と強調した。

この国際会議は仏アレバ社が後援し、チームCANDU、米ウェスチングハウス社、PBMR社が協賛。IAEAが協力している。


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