[原子力産業新聞] 2006年12月14日 第2360号 <1面>

エネ調・総合部会 エネ基本計画改定案まとまる 改定の第1に「原子力の積極的推進」

総合資源エネルギー調査会の総合部会(部会長=黒田昌裕・内閣府経済社会総合研究所長)は7日、第7回会合を開催、エネルギー基本計画改定案をほぼ取りまとめた。改定の視点の第1に、自立し環境に適合するエネルギー構造実現のため、原子力の積極的推進を挙げた。個別施策でも原子力に関する内容を「原子力立国計画」に則り、大幅に拡充した。今月中旬にパブコメに付した後、最終案を審議、来年2月には閣議決定を予定する。

3年前に策定した現行計画改定の視点は、@原子力の積極推進と新エネの着実な拡大A資源外交の積極展開B省エネ推進と温暖化問題の国際枠組みの主導C技術力の一層の強化――の4点。

改定案第1章の基本方針では、世界的な原子力推進の動きとともに、エネルギー安全保障の上で原子力の重要性を記述。環境適合への基本方針でも、「原子力は安全保障と温暖化問題との一体的な解決を図る要」とした。

第2章の計画的施策における原子力の主要記述は下表の通り。燃料サイクルの早期確立の中で、プルサーマルを含め政府一体となった取組みを明記し、FBRサイクルの実用化では50年より前の商業炉の開発を目指すことを盛込んだ。原子力産業の国際展開支援の中で、「CDM(クリーン開発メカニズム)スキームの対象に原子力を加えることは、今年7月のG8での『原子力利用は世界のエネルギー安全保障、気候変動等の課題の対処に資する』との合意を踏まえ、国際的な場で幅広い検討を促すよう努力する」と記述している。

委員からは、「原子力政策を高く評価する。立国計画の理解活動に努め、実効あるものにすることが重要」(柴田昌治・経団連資源・エネルギー対策委員長)、「立国計画を国民に知ってもらう必要がある。その際、消費者も注視すべき」(橋本昌・茨城県知事)、「10年以内にNPT(核不拡散条約)体制を再構築しなければ、原子力が使えなくなることも考えられる」(内藤正久・日本エネルギー経済研究所理事長)などの意見が出された。

また、基本計画の中で原子力発電に「基幹電源」、石炭火力に「ベースロード電源」という表現を使っていることに対し、委員間で意見交換があり、エネ庁の舟木隆・電力・ガス事業部長は「基幹電源にはより重要であるという意味を込めており、メイン電源という意味で使用している」と説明した。


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