[原子力産業新聞] 2006年12月14日 第2360号 <6面>

東京工大COEプロがシンポ開く 最終処分地で活発な意見交換

東京工業大学21世紀COEプログラム「世界の持続的発展を支える革新的原子力」は1日、都内でシンポジウム「最終処分地―それは一体どのように決まったか?」を開催(=写真)した。約100名が参加、フィンランドと韓国の処分地決定までの経緯やパネル討論に耳を傾けた。

フィンランドは原子力規制局のヴオリネン・シニアアドバイザーとルカンダ・ユーラオキ自治区議会副会長がオルキルオト処分地について、韓国は韓国水力原子力(株)のユン・主席マネージャーと慶尚北道庁経済科学振興本部のパク氏が慶州市の中・低レベル放射性廃棄物処分地について、それぞれ決定までの経緯を解説した。

ヴオリネン氏は、「安全性が議論となった時期もあったが、政府・自治体の将来の負担にしないという強い決意、住民の原子力に対する理解、徹底した情報公開などによりサイトが決定できた」と説明。ユン氏は、「誘致地域支援に関する特別法の成立、民主的で透明性の高い選定プロセス、多用な広報手段などが慶州市における89.5%という住民支持につながった」とした。

パネル討論には、4氏とともに加納時男・参議院議員、吉野恭司・エネ庁放射性廃棄物等対策室長、中村政雄・電力中研顧問が参加。加納議員は、国が前面に出た説明の要請や文献調査段階での交付金を大幅に引き上げるよう折衝を進めていることなどを説明。吉野氏は、「これまでに10か所の自治体で検討の動きがあったが、現在、具体的に検討しているのは4か所。バイアスがかからない状況で直接説明すると反発はないが、メディアが伝えると周辺地域を含め過剰と思える反応があり、この反応の違いにギャップを感ずる」とした。また、知名度の高い有識者の重要性、マスメディアの報道姿勢、住民が原子力に触れる場の確保、分かり易い技術説明などについて意見交換された。


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