[原子力産業新聞] 2007年1月5日 第2361号 <11面> |
原子力学会主催で耐震シンポ 新指針は金沢地裁判決に応える日本原子力学会の社会環境部会(部会長=班目春樹・東京大学教授)は12月15日、松浦祥次郎・前原子力安全委員長を座長に、都内でシンポジウム「原子力施設の耐震指針はどう変わったか」を開催(=写真)した。 このほど改訂された耐震設計審査指針について、安全委員会で審議に参画した平野光将・原子力安全基盤機構総括参事より、新指針のポイントを旧指針と対比して説明、電気事業者では改訂指針に照らした既設原子力施設の耐震安全性評価が進められている点につき、同氏は「国民への説明責任の観点から意義深い」との認識を示した。 さらに、平野参事は今回の改訂を、去る3月に志賀2運転差し止めを言い渡した「金沢地裁判決にも十分応えられる」と評価する一方で、安全審査は「時点での最新の知見を加味して客観的に」との考えから、定期的に耐震安全性を再点検する仕組みの確立、発電所の10年定期安全レビューに耐震安全の観点を取り入れることを指摘した。指針改訂最終案の意見公募で、立地地域から意見が多数あったことに関して、「住民とのリスクコミュニケーションは原子力関係者の今後の大きな課題」と課題を提起した。 松浦座長は、新指針の今後の適用方法などに関する来場者からの質疑に対し、「(既存施設への)バックチェックは法的に拘束されるものではないが、世の流れになりつつある」と述べ、今後のアカウンタビリティの面で社会環境部会の役割に期待した。 また、指針改訂論議のほぼ全期間に安全委員長にあった同氏は、「オープンな議論を行う見本となった」と約5年にも及んだ同委の公開審議を振り返った。 |