[原子力産業新聞] 2007年1月5日 第2361号 <12面>

物材機構/理研/原子力機構 量子ビームで研究協力協定締結 3機関の「強み」結集し、イノベーション創出を

文部科学省所管独立行政法人の物質・材料研究機構、理化学研究所、日本原子力研究開発機構の3機関は12月20日、「量子ビームテクノロジーの先導的研究開発に関する研究協力協定」を締結した。施設、人材、3者それぞれが有する強みを結集し、量子ビーム研究のコアとして、インパクトのある研究成果を目指す。

物材機構は、ナノ物質・材料の研究に向け、先端的量子ビームの開発・利用で基盤技術の確立に取り組んでおり、理研は、RIビームファクトリー、大型放射光施設を推進するほか、英国ラザフォードアップルトン・ミュオン施設を利用するなど、自然科学の総合研究所として、幅広い分野で量子ビーム研究を展開している。原子力機構は、研究炉JRR―3の中性子ビーム、高強度極短パルスレーザー、各種の量子ビームを利用し、バイオ、環境、エネルギー、医療など、社会に直接貢献する技術を開発研究、大強度陽子加速器施設を現在建設している。

今回協定に基づく具体的な研究課題としては、「燃料電池システム用キーマテリアルの開発」と「次世代機能材料開発に向けた量子複雑現象の解明」が検討されることとなった。前者プロジェクトでは、燃料電池の各種材料、触媒の高耐食性化、高活性化、作動温度域の拡大により、クリーンエネルギーの普及を目指す。

同日、原子力機構東京事務所で行われた3機関協定署名式で、岸輝雄・物材機構理事長は、人材を活かし、「独立行政法人としての重み」のある国際的に通用する研究を進めていく考えを述べた。野依良治・理研理事長は、機能的なネットワークを通じて、「掛け算の効果」が上がることを期待した。殿塚猷一・原子力機構理事長は、昨今の科学技術分野の細分化から、先端施設を効果的に組み合わせて活用する必要性を述べ、「垣根を取り払った総合力」による目的達成を求めた。


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