[原子力産業新聞] 2007年1月11日 第2362号 <2面>

「原子力推進、賛同得た」 田中・次期IEA事務局長が会見

国際エネルギー機関(IEA)の次期事務局長に内定した田中伸男・OECD科学技術産業局長は12月25日、経済産業省で会見(=写真)し、中国やインドとの連携強化などの抱負を述べた。原子力では、「原子力推進はIEA加盟国全体にとってポジティブに働く、との考え方は各国の賛同を得ている」との認識を示した。

田中氏はIEAの課題について、@中国、インドなどIEA非加盟国との協調行動A原子力などエネルギーの多様化の検討Bエネルギー投資環境の整備C環境や経済成長政策とエネルギー政策の整合――などを挙げた。

原子力について田中氏は、「加盟国でも原子力に様々な意見がある。欧州の一部の国は推進に反対であり、米・英は最近、推進に転換した。自国のエネルギー・ポートフォリオをどう考えるかは、各国の主権に関することであり、IEAは意見を述べる立場にないが、セキュリティーや環境問題から原子力の重要性が高まっており、加盟国全体にとって原子力推進策はポジティブに働くとの認識は概ね賛同を得られている」とした。

IEAは昨年11月に発表した「06年版世界エネルギー見通し」の中で、IEAとして初めて原子力推進の必要性を提起している。

また、田中氏は将来的に中国、インドなどの加盟に期待を示すとともに、今回の事務局長選出について、「日本の官民一丸となった強い後押しとともに、加盟国がアジアを重視し、アジアから事務局長を選ぶことで、橋渡し役を期待している」と述べた。


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