[原子力産業新聞] 2007年1月25日 第2364号 <1面>

高レベル廃棄物地層処分安全規制 炉規法改正案、今通常国会に提出へ 埋設終了後、経産相が閉鎖措置計画を認可

経済産業省は、高レベル放射性廃棄物地層処分の安全規制制度を定める原子炉等規制法改正案の概要を、23日に開催された総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会(部会長=村上陽一郎・国際基督教大学教授)で説明した。25日招集の通常国会に法案を提出し、成立を目指す。

2000年に制定され、高レベル廃棄物処分事業主体の設立、監督、最終処分手続き等を規定する特定放射性廃棄物最終処分法では、安全規制について、「別に法律で定める」となっており、現時点で法整備に至っていない。同法制定時の国会審議で、5〜10年内に安全規制制度の整備を行うこととされていた。

一方、保安部会の廃棄物安全小委員会は昨年9月、地層処分の立地段階から事業廃止まで各段階での安全規制制度の具体的なあり方について報告書を取りまとめた。これを受けて、原子力安全・保安院では、事業主体・関係機関の取組進捗等を踏まえ、地層処分安全規制の法的枠組み整備に着手してきた。

同小委報告で、地層処分相当のTRU廃棄物も高レベル廃棄物と「基本的に同一の規制の法的枠組みを適用することが可能」との考えが示されていることから、両廃棄物処分ともに、現行の廃棄事業規制を参考に、炉規法改正で対応する。

具体的には、埋設施設の設計、建設工事方法の認可、検査を経産相から受けるほか、廃棄物の埋設終了後は、坑道の埋め戻し等、閉鎖措置計画の認可を経産相から受けることを事業者に対し義務付ける。また、核物質防護措置についても盛り込むことになる。

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原子力安全委員会は22日、高レベル廃棄物処分の安全規制に関して、同委の特定放射性廃棄物処分安全調査会(会長=東原紘道・防災科学技術研究所地震防災研究センター長)より「長期間にわたって最新の科学技術的知見が供給されることが重要」などとする検討結果報告を受けた。

地層処分事業の特徴として、超長期にわたる安全性と事業の透明性の確保、知見の変化に対する柔軟な対応の必要性を掲げた上、国が「最新の科学技術的知見に基づいて災害の防止上支障がないことが確保されるよう必要な規制権限を行使」していくことなどを求めた。安全委員会の関与としては、外部科学者団体の協力や、国民各層による会議体設置を通じて、透明性の高い事業運営と安全規制を確保するよう努めることとしている。


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