[原子力産業新聞] 2007年1月25日 第2364号 <2面>

玄海3プルサーマルで 佐賀県で住民投票請求 知事、議会は否定的

九州電力の玄海原子力発電所3号機で計画されているプルサーマル計画について、住民投票でその是非を問うべきだとする市民団体「プルサーマル・大事な事は住民投票で決めよう県民の会」(藤雅仁・満岡聰・吉森康隆・共同代表)は22日、古川康知事に県民投票条例案と約5万人の署名簿を提出した。署名は直接請求に必要な県内有権者の50分の1(約1万4,000人)を超えている。

原子力関係で県レベルの住民投票請求は全国初めてで、県議会は30日から2月2日までの4日間、臨時県議会を開催して審議することを決め、知事は同条例案に対する賛否の意見をつけて議案を提出することになる。

玄海3号でのプルサーマル計画については、国の安全審査は05年9月に許可が出ており、古川知事が06年3月に事前了解を出す前に県議会も同月、計画推進の決議を賛成多数で可決している。いまの時点で同県民の会では、「プルサーマルに反対と言うよりは、自分たちで判断させてほしい」と住民投票のねらいを説明している。

古川知事は「正当なプロセスは経た」との立場から、これまで原子力関係の住民投票には否定的な見解を示してきたが、条例案が可決されれば、住民投票が実施されることになる。結果に法的な拘束力はないが、過去3つの町村レベルで行われた原子力関係住民投票では発電所の誘致やプルサーマルの実施が否定され、結果的に事業が具体的には進んでいないのが実情だ。

署名活動は昨年10月3日から2か月間行い、県下の各市町の選挙管理事務所に提出、その結果、有効署名数は4万9,609人となった。

原子力をめぐる全国の住民投票では、82年に窪川町(高知県)で日本で初めて原子力発電所誘致をめぐる住民投票条例が制定されたが、その後、町長選などとも絡み住民投票は実施されず、日本で最初の住民投票は発電所建設をめぐって巻町(現新潟市と合併)で96年8月に実施、次いで刈羽村(新潟県、プルサーマル)、海山町(三重県、発電所誘致)でも投票が実施され、いずれも事業推進が否定された。むつ市(青森県)、高浜町(福井県)では議会で条例案が否決されている。


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