[原子力産業新聞] 2007年2月1日 第2365号 <4面>

レーザー技術総研と兵庫県立大 ヨウ素129を短時間に核変換

レーザー技術総合研究所と兵庫県立大学の共同研究グループはこのほど、世界で初めてレーザーコンプトンγ線ビームにより、放射性のヨウ素129を短時間に安定なキセノン128に核変換することに成功した。地層処分が困難なヨウ素129の処分技術として期待される。

核変換には、高エネルギーの中性子をぶつける方法と、γ線の照射により核の振動共鳴を起こし中性子を取去るγ線方式がある。

今回は、SPring−8に隣接して設置されている同大学・高度産業科学技術研究所のニュースバル電子蓄積リングを利用し、レーザー光子のコンプトン散乱(電子による光子の散乱)によって得られる、大容量で極めて指向性の高いγ線ビームを用いることにより成功した。

実験ではヨウ素129の代わりに安定核ヨウ素127を使用、核崩壊の時間特性、崩壊γ線エネルギー、反応率などの一致より、ヨウ素の核変換を確認した。両ヨウ素の反応率はほぼ同等であり、今回の成功によりヨウ素129でも核変換処理の有用性が証明されたという。

ヨウ素129の半減期は1,600万年。使用済み燃料に含まれる他の核分裂生成物に比べ一桁長く、低温で気化することもあり地層処分が困難で、世界的にその処理方法が検討されている。


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