[原子力産業新聞] 2007年2月15日 第2367号 <2面>

投資環境小委 電事連が試算を提示 解体引当金、約3,300億円不足

総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の原子力発電投資環境整備小委員会(委員長=金本良嗣・東大院教授)は8日、第5回会合を開催、原子力発電施設解体引当金の見直しについて検討した。電気事業連合会は、2000年の見直し以降の法令改正などに伴い、現行の積立額では全体で3,290億円不足するとの試算を提示。次回会合では、経済産業省が今回の議論を踏まえた報告書案を示す。

同解体費用の引当金制度は88年に整備された。予測費用は必要に応じ見直しており、現在は110万kW級で1基当たりBWRが565億円、PWRが544億円。電気事業者は毎年、引当額をプラント毎に経産省に申請、所定の算定額を損金算入している。

電事連が今回示した試算は、クリアランス制度の整備、廃止措置規制の見直しなど05年の原子炉等規制法の改正、00年の建設リサイクル法制定を踏まえたもの。@クリアランスレベル変更に伴う処理処分費用の変更A同対象物の測定費用の追加B廃止措置期間変更(実用炉規則改正による廃止措置開始時点の変更)に伴う施設の維持・管理費用の変更C再資源化に伴うクリアランスレベル以下廃棄物処分費用の変更――などを考慮。併せて、安全貯蔵期間中の監視体制の合理化による費用削減策を実施することも示した。

その結果、110万kW級で1基当たりBWRが94億円、PWRが53億円の不足、全国55基合計で3,290億円の不足と試算した。現行は40年稼働を前提に合計で約2兆6,000億円の引当てを計画、05年度末までに約1兆1,000億円を引当てている。

委員からは、各見直し費用の算出手法のより詳細な提示が必要などの意見が出されたが、考え方は概ね妥当との意見が大勢を占めた。

次回会合で経産省が報告書案を示し、その後、税制上の措置は財務省などと、料金体系への反映については関係審議会で検討する見通し。


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