[原子力産業新聞] 2007年2月15日 第2367号 <4面> |
書評 「雷さんと私」 宅間 正夫著「雷」は電気設備の大敵。著者は東京電力の柏崎刈羽原子力発電所勤務時代、冬季雷の恐ろしさを体験するとともに、古来から人々の暮らしと共にある「雷」に興味を持った、と言う。科学や技術としての雷、神様や民俗としての雷さんに魅せられ、多忙な仕事の傍ら寸暇を惜しんで文献をあさり、脚でかせいで歴史、芸術、民話、世界の雷など、あらゆる面から調べあげた成果を1冊にまとめた。 筆者は雷さんは鬼ではなく、「古来、水をもたらしてくれる農耕神として、天神として最高の自然神だった」と結論付けている。 随所に掲載される「こぼれ話」も面白く、例えば、原子力界では確率論的リスク評価で工学的安全問題を科学的に捉えようとする動きがあるが、「3回も落雷に打たれて助かった男」の話が紹介されている。 1回目は乗馬中に、2回目は川で釣りをしている最中に、3回目は草原で昼寝中にということらしい。1人が3回も落雷に合う確率は6,000億分の1だそうで、このなんとも気の毒な男には後日談まであって、病死した4年後には、何と墓石にまで落雷したとの落ちまでついたそうだ。 三月書房発行、税込み2,415円、全国一般書店で販売。 |