[原子力産業新聞] 2007年2月22日 第2368号 <2面>

保安部会 効率的な研究開発で 規制分野でも官民連携

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の原子力安全基盤小委員会(委員長=大橋弘忠・東京大学工学系研究科教授)は1月30日、今後の優先的に取り組むべき原子力安全分野について、ロードマップを策定していく考えを打ち出した。産業界と規制側との連携による効率的な研究開発の実施体制を検討するのが1つのねらい。

先ずは、高経年化対応技術と燃料高度化技術について、本年夏頃を目途に作成する考え。

旧原子力工学試験センターの安全性実証試験では、技術的課題等について、電気事業者、メーカーら、関係者の情報共有により、研究成果の実プラント、安全規制への反映を通じて、安全基盤の全般的構築に役立っていた。現在では安全研究事業主体の原子力安全基盤機構、研究実施主体の日本原子力研究開発機構と、産業界との間で「成果を共有、活用等のための意思疎通は自ずと限定的」と、研究体制面での課題を原子力安全・保安院が同小委で指摘した。

その上で保安院は、米国の原子力規制委員会(NRC)と電力研究所(EPRI)による共同研究を例に、規制当局と産業界とがそれぞれの役割を踏まえて、共同で研究を実施することは、限られた資源を有効に活用する観点から望ましいとの考えを示した。

今後の具体的な取り組みとしては、産業界、規制当局等関係機関の基本的な役割分担、双方の優先度の高い研究を整理し、定量的な目標を掲げたロードマップ策定に着手する。すでに高経年化対応技術と燃料高度化技術については、基盤機構、原子力学会で、関村直人・東京大学工学系研究科教授を中心に検討が進められている。

また、ヒューマン・ファクターに関する課題認識から、社会安全技術分野でもロードマップ作りが進められており、これに関連し、班目春樹・東大院教授が、「原子力発電の安全管理と社会環境に関するワークショップ」を3月に開催することを明らかにした。


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