[原子力産業新聞] 2007年2月22日 第2368号 <2面>

エネ研 世界市場拡大で報告 日本メーカーの課題も分析

日本エネルギー経済研究所は15日、定例研究報告会を開き(=写真)、戦略・産業ユニット電力・ガス事業グループの村上朋子・主任研究員が「世界の原子力発電市場と産業界再編の展望」と題して報告した。

1970年代、80年代は急速に世界の発電設備容量も伸びたが、それ以降は伸び悩んでいる状態だが、発電電力量の推移では米国での高稼働や出力増強などが貢献し、順調な伸びを示しているとも指摘。

建設中の設備容量に注目すると、80年前後にピークをつけ、その後漸減を続け、05年には1967年ごろの水準にまで低下、今後、この線が原子力ルネッサンスでどこまで上向くかが注目される、と述べた。

大手原子力メーカーの再編では、BNFLがWH社を東芝に売却したことについて、「BNFLグループでは、WH社が優良子会社だからこそ、いまが売り時という声もある」と紹介した。

また同氏は、GE社の原子力事業を含む「インフラストラクチャー」部門は、「GEグループのコア事業」と分析し、「優れたコンセプトを売り込み、主契約者として主に設計を担当し、機器製造は別のメーカーに発注するビジネスモデル」を持っているとした。

日本のメーカーについても、三菱重工業では「パワーシステム」部門は同社のナンバーワン事業であり、東芝はWH社買収により売り上げと収益性を高められるかが今後の課題、日立の「電力・産業システム」部門は売り上げより収益性向上が課題だ、と述べた。

コメンテーターとして参加した東京電力の武藤栄・原子力・立地副本部長は、「原子力は立地、燃料サイクルなどたいへん時間のかかる技術であり、事業だ」とした上で、「評価の期間を短く取れば取るほど、いろいろな問題がでてくるが、将来の原子力にとっていまはたいへん重要な時期。電力会社にとっても原子力は将来にわたって基幹電力だ」と述べた。また、日本の原子力産業の強さについて同氏は「機器の調達、工期の確実性などにある」とし、「電力もメーカーと力を合わせて、発電所をしっかり運転し、世界に示していくことが重要だ」と述べた。


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