[原子力産業新聞] 2007年2月22日 第2368号 <3面>

英国 高等法院判断は手続きのみを問題視 政府のエネ政策に変更なし

英高等法院が15日、「政府が昨年発表したエネルギー政策方針の検討手続きには問題がある」との判断を下したことに対し、英国政府は同日にコメントを発表。「検討手続きを問題視したもので、原子力発電自体を問題視したものではない」との認識を示し、原子力発電を推進する方針に変更はないことを明言した。

グリーンピースの訴えによる高等法院の判決を受け、A.ダーリング貿易産業相は、「控訴はせずに、検討手続きを再度実施する」との意向を表明。同時に「気候変動に取り組むためには長期的な判断に基づく政府のリーダーシップが不可欠」とし、原子力発電は温室効果ガス排出量を削減するだけでなく、英国のエネルギー安全保障を確立するものだと強調した。

また同大臣は、「今後20年間で2,500万kWの原子力発電設備容量が必要になる」との考えを改めて示した。そして公聴会のやり直しなど、再検討の作業を実施し、その過程で出された意見も参考にした上で、正式なエネルギー白書(最終的なエネルギー政策)を発表する計画だ。

英国政府は昨年7月、エネルギーに関する政策方針を発表。化石燃料の高騰による原子力発電の経済性向上、地球温暖化対策に果たす原子力発電の役割の再認識などから、前回(2003年)発表の再生可能エネルギー頼みのエネルギー政策から、原子力発電所の新規建設も含む現実的なエネルギー政策へ、大幅に路線を修正していた。


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