[原子力産業新聞] 2007年2月22日 第2368号 <3面> |
南ア、軽水炉を建設へ 3月にも供給者を選定南アフリカのA.エルウィン公営企業相は12日、原子力発電所の新規建設に向け、南アフリカ電力公社(ESKOM)が来月にも供給者選定を実施する予定であることを明らかにした。 ESKOMは昨年11月、新たに軽水炉を建設する方針を発表。すでに米ウェスチングハウス社や仏アレバ社から複数の炉型が提案されているようだ。建設予定サイトは既存のクバーグ原子力発電所サイト(=左写真)。同サイトでは、出力94万5,000kWの仏フラマトム社(当時)製PWRが2基運転中である。 一方、ESKOMが中心となって設立したPBMR社が開発中のペブルベッド燃料・モジュラー型炉(PBMR)は、現時点の計画では実証炉(出力11万kW)が来年着工され、2012年に完成する見込みだ。今年1月末には、M.ファンスカークバイク環境・観光相が、南アフリカ原子力機構(NECSA)のPBMR燃料加工パイロット・プラント建設計画に関する環境影響評価を妥当と判断し、改めて肯定的な意思決定記録(ROD)を発給。同プラントの早急な建設をNECSAに促している。 昨年7月に発表されたESKOMの決算によると、ESKOMの税引き前利益は9億6,000万ドル。同国の急激な経済成長にともない、同社の投資計画は加速を余儀なくされている。発電設備容量の不足だけでなく、送電網の脆弱さも指摘されている。 石炭資源に恵まれた南アフリカでは、総発電電力量の9割以上を石炭火力発電でまかなっている。しかし需要が増加傾向にあるケープタウン近郊や東西沿岸部では、東北内陸の産炭地から遠く、輸送費がかさむため、需要地近接立地が可能な原子力発電所に注目が集まっている。 |