[原子力産業新聞] 2007年2月22日 第2368号 <4面>

原子力機構 HTTR 固有安全性を実証 冷却材急減や制御棒引抜き

日本原子力研究開発機構が高温工学試験研究炉(HTTR)により、高温ガス炉の特性である優れた安全性を次々と実証している。冷却材急減や制御棒引抜きなどの試験によるもので、原子力機構では高温ガス炉の世界トップランナーとして、今後、より厳しい条件の試験も予定する。

高温ガス炉は炉心の熱容量が大きく、併せて何らかの事故で炉心温度が上昇しても、炉内で生じる自然な物理法則により核分裂反応が自動的に減少、安定する特性を持つ。

原子力機構は今月、全出力(30MW)状態でヘリウム流量を3分の1まで急速に低下させる試験を実施、原子炉出力がほぼ事前解析通り、約60秒後に40%程度に減少し、安定することを確認した。今後、全流量喪失試験などを行うとともに、核分裂反応の特性を精度良く把握する。

制御棒引抜き試験は昨年12月に実施した。HTTRには16対の制御棒が配置されているが、炉心中央の制御棒を引抜くことにより正の反応度を投入、その後の原子炉出力を観測する。30%から80%の4出力レベルで、各種の引抜き速度、引抜き量により実験。80%では引抜き直後から、10秒程度で90%を上回る出力になるが、その後下降し、ほぼ事前解析通り、約60秒後には80%で安定した。

試験は、文部科学省の公募型研究制度の採択課題「高温ガス炉固有の安全性の定量的実証」として、02年度から5か年計画で推進している。


Copyright (C) 2007 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.