[原子力産業新聞] 2007年2月22日 第2368号 <4面>

シニアネット まず、子供・孫へのエネ教育を

第一線を退いた原子力技術者らで組織する日本原子力学会「シニアネットワーク」(会長=竹内哲夫・元原子力委員)は1月31日、学士会館(東京・千代田区)で、シンポジウム「岐路に立つエネルギーと地球環境―世代を超えて考える」を開催した。教育現場の意見も交えた討論を通じ、シニア世代として、エネルギー・環境教育での貢献の仕方を模索するのがねらい。

エネルギー・環境教育については、社会経済生産性本部エネルギー環境教育情報センターがカリキュラム開発に取り組んでいるが、実際の教育現場では、受験対策などに追われ、実践にまで至っていないという実情を大内敏史・同副所長は述べ、「まずは自分の子供や孫へのエネルギー教育」をシニアたちに期待した。

さらに、大内氏は、学習内容の学年・教科間での系統性のなさ、教師の研修不足を挙げたのに対し、原子力学会教育委員会の主査を務める工藤和彦・九州大学工学研究院教授は、学校教科書中の原子力関連の「不適切な記述」を数多く指摘し、環境とエネルギー問題を一体化した教育課程、原子力に関する客観的で中立的な記述―を学習指導要領に要望した。

また、教員養成に携わった立場から、黒杭清治・元芝浦工業大学教授は、小中高校に新設された「総合学習」に対応した実践例を紹介、「原発は是か非か」というテーマ討論でも、学生に考える姿勢が育つなど成果があったという。

シニアネットワーク副会長の荒井利治・日立製作所名誉顧問は、「今年は旧制教育の世代が完全にリタイアする年」と述べ、後継者たる学生との対話の場に立つシニアの今後の活躍に期待した。


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