[原子力産業新聞] 2007年3月1日 第2369号 <3面>

州レベルの規制を強化へ

投資ファンドによるLBOでは、一般的に5年以内に投資総額の20%以上の利益をあげることを目指すパターンが多いと言われている。TXU社の新経営方針では、発電部門・送電部門・小売部門を分社化することも盛り込まれているが、これにより投資ファンドは必要に応じて各部門をバラ売りし、容易に資金を回収することが出来ると見ることも出来る。労組リーダーや一部政治家は、投資ファンドを「アセット・ストリッパー」(資産の解体屋)と呼び、雇用を脅かす存在として不快感をあらわにしている。

KKRとTPGは2004年7月、テキサス・ジェンコ社(サウステキサス・プロジェクト原子力発電所の所有者)の買収(36億5,000万ドル)にも参画。約1年半後の昨年2月にはテキサス・ジェンコ社をNRGエナジー社に58億ドルで転売し、巨利を得ている。

今回投資ファンド側は、電気料金の引き下げや環境重視キャンペーンを掲げ、「TXU社を5年以上所有する用意がある」と発言するなど、悪評の打消しに必死だが、早くもテキサス州議会上院委員会は翌27日、同州の規制当局に電力会社の買収に対する強い規制権を与える法律を制定することを決定した。

現行法では買収に対する州レベルでの権限は非常に弱く、電気料金に与える影響を検討するのが精一杯。また連邦レベルの規制当局も、TXU社のようにテキサス州の送電網のみに接続する電力会社に対しては、連邦政府の管轄外であるため規制権が限られているからだ。今後TXU社は、テキサス州規制当局の強い監視下に置かれることになりそうだ。


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