[原子力産業新聞] 2007年3月1日 第2369号 <3面>

イラン ブシェール1号機建設作業に遅れ 機器供給のメド立たず

ブシェール1号機の建設スケジュールが、資金や機器の供給問題で、さらに遅れそうだ。

同機はイラン初の原子力発電所で、ロシアのアトムストロイエクスポルト社(ASE)が主契約者となり建設が進められている。昨年9月に両国が決定した新スケジュールでは、今年3月に燃料を装荷、同9月に起動し初臨界を達成、同11月に送電を開始する予定だった。

しかしロシア原子力庁によると、同機の冷却系統関連機器がいまだに第3国から供給されていないという。イラン側はロシアからの購入を拒否し第3国へ発注を行ったが、慎重な契約手続きを踏まなかったために契約履行の保証を得ておらず、米国の制裁を恐れる各国が機器供給に二の足を踏んでいるのが現状のようだ。

またイラン側はASEへの毎月2,500万ドルの支払いを約していたが、実際には1月分として510万ドルが支払われたのみで、2月分はまったく支払われていない。契約に明記されたドル建てでの支払いにイラン側が難色を示し、ユーロ建てでの支払いへの変更を求めていることも一因となっているようだ。

ASE社は2月20日、「ブシェール1号機建設プロジェクトは、ロシア・イラン両国の協力関係の核であり、中断することはない」とコメントしているが、機器供給の見通しが立たない状態では、3月に予定された露TENEX社による燃料供給も延期せざるを得ないとみられている。


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