[原子力産業新聞] 2007年3月8日 第2370号 <2面>

原子力機構と芝浦工大 イオン照射で微細構造体を試作

日本原子力研究開発機構と芝浦工業大学はこのほど、イオン照射研究施設「TIARA」により、水平加工精度が数百nmで最大加工深さが50μmという3次元微細構造体の試作に成功した。また神戸製鋼所と協力、世界に先駆けてバイオチップなどの製造に必要な小型プロトンビームライティング(PWR)加工装置の開発を開始した。

集積回路などでは電子線(EB)による微細加工技術を用いるが、EBは物質中で散乱するため、大きな深度の加工に限界がある。これに対しプロトンビームは、水平方向の分解能は劣るが深さ方向は数十μmの加工が可能で、高アスペクト比構造に対応できる。

今回、両者は「TIARA」で3MeVの高エネルギーの陽子ビーム径を数百nmまで微細化、これを照射し微細加工する技術を開発。水平加工精度数百nmでアスペクト比10以上の3次元微細構造体を試作した。

原子力機構と神戸製鋼所は、このPWR加工技術を小型装置化するための技術開発を開始。新光学素子やバイオチップなどの製造産業に必要な型の作製用、これら素子のプロトタイプの作製用などとして商品化を目指す。


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