[原子力産業新聞] 2007年3月15日 第2371号 <2面>

原子力機構がシンポ 「JMTRの新たな挑戦」を開催 産業界から“使い易さ”の強い要望

日本原子力研究開発機構は8日、都内でシンポジウム「材料試験炉JMTRの新たな挑戦」を開催した(=写真)。来年度からの改修計画などを説明、産業界からは海外の材料試験炉との比較による要望も出された。

シンポジウムでは河村弘・材料試験炉計画準備室長が、軽水炉材料・燃料の照射設備、シリコン半導体や医療用RIの製造設備など、整備計画を説明。一般ユーザーの利用拡大を目指し、技術支援体制の拡充、ターンアラウンドタイムの短縮、魅力ある照射費用などに取組むとともに、海外炉との相互協力、近隣施設群を活用した技術的価値の高いデータ提供の実現などの方針を示した。

続いて、ビタンザ・OECD/NEA原子力安全副部長が世界の材料試験用原子炉の現状、ロングハースト・INL/BEA燃料・材料性能向上部研究開発員が米国の照射試験ニーズについて講演。また関村直人・東大院教授らが、同大学院弥生研究会「軽水炉技術開発のための照射試験に関する研究会」の報告内容を説明した。

総合討論では、伊藤賢一・GNFJチーフエンジニア、笠井滋・原技協グループリーダー、田中治邦・電事連原子力部長、長谷川雅幸・東北大教授、前川治・電工会原子力技術委員長などのパネリストが果たすべき役割と課題について議論。

田中部長は、JMTRの産業界の利用比率が8%程度にとどまる一方で、国内の産業界が照射実験の90%以上を海外炉に依存している状況を紹介。国内の産業界でも照射試験ニーズは高いとし、スケジュールの信頼性向上、技術支援サービスの充実、利用料金の低減などを求めた。伊藤氏は新JMTRが所内志向・受動的・スピード欠如・産業界との乖離などの「JAEA大洗のJMTR」になるか、それとも産業志向・能動的・スピードと技術サポート力・産業界との連携などの「世界のJMTR」になるかは、JAEA職員の意識次第と激励した。


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