[原子力産業新聞] 2007年3月15日 第2371号 <2面> |
原子力委・防護部会が議論 ガラス固化体は防護区域に原子力委員会の原子力防護専門部会(部会長=内藤香・核物質管理センター専務理事)は12日、第2回会合を開催、ガラス固化体や長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)の防護の基本的な考え方を議論した。これらを妨害破壊行為の観点から新たに防護対象とすべきだが、その性質上枢要区域を整備する必要はなく、防護区域の整備を求める、との考え方を示した。 新たに原子力防護の対象とするのは、ガラス固化体と、放射能が比較的低く浅地中処分対象となるものを除くTRU廃棄物。対象施設は、最終処分までの間、対象物の管理を行う施設やガラス固化体の地層処分施設およびTRU廃棄物の余裕深度処分施設。 ガラス固化体などは、核物質の抽出や不法移転などの観点からは防護の必要性が低いが、テロリストなど不法行為者の破壊行為により環境や公衆に対する放射線影響を考慮する必要性が高まっているとしている。 このため、国はガラス固化体や廃棄物管理施設などの特徴を踏まえ、妨害破壊行為の脅威を考察して講じるべき防護措置の要件を事業者に示すべきとした。この際に、対象施設が防護規制に加え安全規制や保障措置規制の対象にもなるため、これらを同時に満足できる対応を排除すべきでないともしている。 IAEAの勧告では発電炉に対しては、防護対象に応じ、枢要区域と防護区域の整備を求めているが、今回は対象施設の性格上、防護区域の整備を求めることで対応すべきではないかとした。防護区域では、@出入口管理、入域制限などによる出入管理A監視装置や見張人による巡視などによる監視B異常時の連絡通報体制の整備C緊急時の対応計画の作成や防護に係る教育・訓練等の対応体制の確立――などが求められることになる。また、これらの輸送中の防護の基本的な考え方として、主として想定される海上輸送中の妨害破壊行為は影響が限定されるため、現在のところ防護の必要性は低いのではないか、との見解が示された。 今会合では国土交通省から輸送における核物質防護、厚生労働省から診断用放射線の防護、外務省から国際社会と連動した核セキュリティーなどのヒアリングも行った。 |