[原子力産業新聞] 2007年3月15日 第2371号 <2面>

「理解ある地域が役割担うべき」 東通村長が最終処分地で考え方

青森県の財団法人「むつ小川原産業活性化センター」が昨年10月にフランスに派遣した調査団の報告書がこのほどまとまり、同調査団の団長を務めた越善靖夫・東通村長がその中で、我が国の高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定対象地について、「核燃料サイクル施設および原子力発電所立地に伴う長年の地道なPA(パブリック・アクセプタンス)により、地域理解が得られている立地・周辺市町村が、(略)主体的役割を担うべきではないだろうか」との考えを明らかにしている。

越善村長は、フランスの原子力開発や放射性廃棄物処分の政策について高く評価した後、日本の原子力事情について「政府や電力業界が安全性やクリーンエネルギーを掲げ一丸となって原子力エネルギーへの転換に取り組んでいるものの、国民の本質的な理解はまったく十分とは言えない」と厳しく評価。

特に放射性廃棄物の最終処分については、「次世代に課題を先延ばしせず、現世代が責任を持って対処すべきことは明白であり、すでに先送りできない状況のはず」との認識を示し、「複数の自治体が関心を示しても、世論の合意形成がなされず断念せざるを得ない構図が繰り返されている」と述べている。

その上で、前述の文章内容となり、立地・周辺市町村が「より政府との連携を強め、放射性廃棄物最終処分における本質的かつ具体的な議論を積極的に展開し、原子力エネルギー政策を支える地域」として、その役割を担うべきだと強調している。

そのためにも同村長は、「政府はこれまで以上に強力なリーダーシップと政策展開を行うべき」と要望、最後に「そして何よりも大切なことは、次世代に課題を先延ばししないフランスの精神こそ、いまの日本の原子力政策に必要なことではないだろうか」と訴えかけている。


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