[原子力産業新聞] 2007年3月15日 第2371号 <4面>

原子力学会・社会環境WSが開催 「ソフト面での安全確保を」

日本原子力学会社会環境部会(部会長=班目春樹・東京大学工学系研究科教授)他主催の「原子力の安全管理と社会環境」ワークショップが8日、東大武田先端知ホール(東京都文京区)で開催、品質マネジメント、ヒューマンファクター、社会技術の各側面から、「ソフト面での安全確保」に向けた事業者、規制当局の取組が紹介された。施設・設備等、ハード面のみならず、人的要因に関わる安全規制手法も重要との認識から、社会安全技術分野での研究開発ロードマップ作りに資するのがねらい。

飯塚悦功・東大工学系研究科教授は、品質保証を「要求事項に適合する製品・サービスを提供できる能力があることを実証することによる信頼感の付与」と意味付け、原子力施設の検査では、対象物の妥当性確認以上に、証明・説明責任の観点が重要と述べた。また、「安全確保は生産者側の市場原理ではなく規制によってなされる」と断言し、国による検査の意義を強調した。規制側から、根井寿規・原子力安全・保安院原子力発電検査課長は、調達管理に係わるいわゆる「丸投げ」を指摘し、これらの改善を含めた事業者の品質保証活動の充実・強化に向け、現行の品質保証規格見直しの必要を訴えた。

ヒューマンファクターの側面から、関西電力・芝池博之氏は、91年の美浜事故以来の同社取組の中から、最近の「安全風土」に着目した調査活動を紹介、役職者のリーダーシップについて、部下への質問用紙を通じた調査を行い、その分析結果のフィードバックが職場の安全風土高揚に効果を上げつつあると報告。

社会技術が専門の堀井秀之・東大工学系研究科教授は、企業の社会的信頼獲得への努力が安全風土・企業文化の醸成につながっていくことを自身の調査から示唆した。


Copyright (C) 2007 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.