[原子力産業新聞] 2007年3月22日 第2372号 <1面>

志賀1号機で臨界事故が判明

北陸電力は15日、志賀1号機(BWR、54万kW)で、99年の定期検査中に、想定外に制御棒が抜け原子炉が臨界状態になっていたことが判明した、と発表した。経済産業省は同日、原子炉を早急に停止し、安全対策を総点検した上で、原因を究明し再発防止策を策定、今月30日までに報告するよう求めた。

これを受け、北陸電力は翌16日未明、同機を停止、同日付で永原功・社長を委員長とする事故調査委員会を設置した。

同社によると、定検の際の原子炉停止機能強化工事の機能確認試験準備作業で、制御棒関連の弁を操作していたところ、全89本の制御棒のうち、想定外に3本が抜け原子炉が臨界状態となり、原子炉自動停止信号が発報した。

通常、同発報により制御棒が緊急挿入されるが、制御棒駆動系統の挿入ラインの弁が誤った手順で「閉」となっていたこと、水圧制御蓄圧容器に圧力が充填されていなかったことから、制御棒が挿入されなかった。このため閉めた弁を戻して制御棒を全挿入、15分後に事態は収束した。

同社は本件に関して必要な記録も残しておらず、昨年11月の原子力安全・保安院の電力各社に対する発電設備点検指示を受けた社内聴き取り調査で初めて判明した。


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