[原子力産業新聞] 2007年3月22日 第2372号 <3面>

ケールリッヒの残余電力で独環境相 ビブリスAへの移転は却下

ドイツのS.ガブリエル連邦環境相はこのほど、RWEパワー社が申し入れていたミュルハイム・ケールリッヒ原子力発電所からビブリスA原子力発電所(PWR、122万5,000kW)への残余電力量の移転を却下した。しかし、RWEが代替案として出していた、エムスラントからビブリスAへの移転については、まだ判断を下していない。

連邦政府と国内4大電力会社(RWE、VEBA、VIAG、EnBW)は2000年6月、原子力発電所の発電電力量の設定で合意。原子力発電所の通常運転期間(運転停止期間は除く)を送電開始から32年とした上で、これまでの運転実績をベースに、2000年以降の原子力発電電力量を国内合計で約2兆6,000億kWhと設定し、各発電所の発電電力量の枠の移転・譲渡も可能とした。

当時、訴訟により運転休止中だったRWE所有のミュルハイム・ケールリッヒ発電所(PWR、130万2,000kW)は、即時閉鎖/訴訟取り下げを条件に、1,072億5,000万kWhの残余電力量が割り当てられた。この残余電力量は、同じく同社所有のエムスラント発電所、グンドレミンゲンB、C発電所への移転、あるいは他電力の発電所への譲渡が認められている。

しかしビブリスA、B発電所は運開時期が比較的古いため、ビブリスBにのみ214億5,000万kWh(残余電力量の20%)を上限とした移転が認められたが、ビブリスAは移転対象とされていなかった。

RWEパワー社はビブリスBに上限一杯の214億5,000万kWh分を移転させて2011年末まで運転する予定で、同一サイトのツインユニットであるビブリスAの運転期間も2011年末まで延長させた方が合理的と判断。2006年9月には、ミュルハイム・ケールリッヒ原発の残余電力量のうち、300億kWhをビブリスAへ移転することを、連邦環境省および関係当局に申請していた。

人員配置の観点から、ツインユニットの運転期間を同期させることにより、保守・補修や運転が最適化され、経済性だけでなく安全性も高いと考えられている。2006年12月にはEnBW社も、ネッカー2号機からネッカー1号機への発電電力量の移転を、連邦環境省に申し入れている。現状では1号機は09年、2号機は22年に運転期限を迎えるが、2号機の運転期限を前倒しして469億kWhの電力量を1号機へ移転することで、両機は2017年まで運転を継続できるとの考えだ。


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