[原子力産業新聞] 2007年4月5日 第2374号 <2面> |
学会が志賀の報告会 北陸電力、中間領域モニタなど示す日本原子力学会は3月28日、07年春の年会(名古屋大学)において、志賀原子力発電所1号機の臨界事象等に関する報告会を開催(=写真)した。北陸電力から山崎達広・原子力部長、原子力安全・保安院から平岡英治・首席統括安全審査官が出席、同日までに判明している事実関係や対応を説明した。 山崎部長はまず、今回の件について陳謝するとともに事故の経緯、引き抜けた制御棒の位置、中性子量を測定する中間領域モニタの変化、原子炉の状態、外部への影響、警報等の印字記録などを説明。中間領域モニタでは、2時17分の引き抜け直後から測定範囲を逸脱する変化を示す実際の記録データを示した。原子炉の格納容器と圧力容器の上蓋は、定期検査のため外した状態であったことも説明した。ただしモニタリングポスト、排気筒モニタなど放射線モニタの記録に有意な変化がなかったことも実際の記録データで示した。 また、発生原因については制御棒駆動機構の構造的な欠陥ではなく、原子炉停止機能強化工事を実施した際の誤操作と考えているとした。 平岡審査官は、保安院の現在の対応や今後の方針を説明するとともに、「今回の件は昨年11月より実施の発電設備に係る総点検の中で判明したが、安全を確保し原子力立国を構築するための努力である」と述べ、国民の理解を求めた。 会場からは、臨界発生時の炉心の燃焼度、海外で同様な事象はないかなどの質問が出された。 |